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 中学入試  “学校選び”アドバイス    【中学受験わかばナビ】


   中学入試  “学校選び”アドバイス

 

学校選びについてや勉強法、過去問の使い方など、ちょっとしたアドバイスをご紹介いたします。

 

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中学入試編

 

 2011年度入試では受験生が増えるのか?

 

東京
神奈川
千葉
埼玉
1都3県計
小5数(現小6)
99,704
82,294
56,809
67,107
305,914
小6数(現中1)
98,210
81,367
56,323
67,593
303,493
+1,494
+927
+486
-486
+2421

 

上の表は2010年度の国立・公立・私立の1都3県児童生徒数の比較です。昨年は748名減っていましたが、私立中学の受験生数は若干、減少したようです。現小6児童数は増えますが、先行きの見通しが立たない経済状況を反映して中学受験生は減少傾向が予想されるため、来春入試では今春と同じくらいの受験生数になりそうです。

現小4はほぼ横ばい、以降、首都圏の児童数は増減を繰り返しますが、大きな変動は見られません。急激に都市人口が減るとも考えにくいので、総数ではこの状況が続くと見て良いでしょう。

また、首都圏では上昇を続けていた中学受験率ですが、不景気に強いといわれながら小休止に入ったとも見られます。
公立中高一貫校の増加により受験生も増えていましたが、あまりの倍率の高さに敬遠する向きも出始め、やや落ち着きを見せ始めています。しかし、地域によってはクラスの半分を越える生徒が中学を受験している場合もあるようです。いわば、中学入試は特別なことではなく、受験するのが当たり前という状況も生まれている、ということです。

中学受験対策の三大模試の総受験者数はそれまでの増加傾向から2年続けて減っています。中学受験をするなら1学期中から公開模試を受験しよう、という意識が定着してきた一方で、不況の影響が出ているのかもしれません。

中学募集校は大学付属校や提携校を中心に増加、定員を増やしているところも少なくありません。午後入試や別会場入試などバリエーションも豊富です。経済状況を考えますとご家庭にとって厳しい状況ともいえますが、選択肢が増え、全体的に緩和しそうな状況は、受験生にとって恵まれているともいえそうです。「本当にこどもに合った学校選びをしたい」ご家庭にとって、今がチャンスかもしれません。よく吟味して悔いのない学校選びをしたいものです。

 

 

  受験生の志向は変わるのか?

男子はもともと、定員に対する受験生の割合が多いので、全員が合格できるわけではありません。女子は定員内におさまるので選り好みさえしなければ、全員合格することは可能です。

実際は人気の二極化が続いていますから、高倍率の人気校と定員割れをする学校とがあります。合格発表会場で「ヤッタ!」なんて雄叫びを上げようものなら、合格できなかった周囲の冷たい視線でいたたまれなくなるような高倍率入試と、受験生より試験会場の先生方の方が多いかもしれない入試との両極端が存在します。もちろん、その他に普通の入試もあります。これは例年と同じです。
前の年の入試結果は翌年の入試状況に影響を及ぼすものです。人気・倍率とも上昇していた学校が敬遠されたり、敬遠されていた学校に人気が戻ってきたりします。新校に加えて、共学化したリニューアル校が将来への期待感から歓迎されることもあって、安全志向は根強そうです。そうなれば、今春同様、中堅上位校の難易度が上がり、無理のない作戦のつもりが激戦になってしまう危険性が出てきます。とかく、人気は集中しやすいですが、集中するところを避けた方がチャンスは広がります。

ここのところ、受験率が上がっていたせいか、「あまり無理はさせたくない」「でも、このランクより下なら受けない」と考える保護者の方が増えている印象です。
その背景には私立志向という一面に加え、公立不信もあるようです。そのため、「何が何でも御三家」「何があっても難関大学付属校」という志向より「中堅上位校に入れれば十分」(「十分」といっても難しくなっているのですが)という志向の方が強まっています。
そのニーズに応えられる期待感のある学校が人気を集めています。

 

   なぜ中学受験をするのか?

中学入試では一人の受験する学校の数が大体5〜6校くらいです。中には10校以上受ける方もいます。
受験した学校に合格できればいいのですが、連戦連勝ということには、なかなかいかないのが現実です。たとえ模試の結果で偏差値が70以上あってもどうなるかわかりません。当日の体調が悪かったり、過度の緊張で思わぬミスを犯したりしたために、失敗することもあります。また、ここ数年は受験率が増えていたので、わずか1点の差で合否が決まる厳しい入試も珍しくありません。 となれば、いくつか受験機会を増やして、合格する可能性を広げること、確実に合格できる学校と、実力相応校と挑戦校とを選ぶことが望ましいようです。
候補となる学校が、実際に受験する学校の倍は必要とすれば、学校の数は足りないというのが現実です。 それに、なかなか思うようにはいかないものです。
誰もが行かせたいな、いいな、と思う学校は人気が高くて合格するのが難しい。 最近は分散傾向も見られますが、人気校ばかり受験して全滅してしまうケースもないわけではありません。

いろいろなうわさ話も入試が近づくと聞こえてきたりします。
中学入試には合格確約がない分、不安になりやすいので根拠のない話でも振り回されてしまいがちです。振り回されて訳がわからなくなってしまわないようによく考えて、ご家庭で方針を決めることです。

「この線だけは譲れません」「外は外、ウチはウチ」というものがあれば、そうはブレません。

「行かせたい私学があるから」
「地元公立中にだけは行かせたくないから」
「子どものやりたいことができる環境に入れさせたいから」
「入試は一度だけでのびのびさせたいから」
「周囲がみんな受験するから」・・・等、受験を決めるきっかけはさまざまでしょう。
早い時期から受験準備に入っているご家庭では、当初の考えとずいぶん違ってしまっているかもしれません。それでもなおお、金と時間と労力をかけて中学入試をするのはなぜか?
その決断をさせたものがはっきりしていれば、おのずと学校選びの方向性も決まってくるはずです。

 

 

  学校に行ってみよう

学校選びのポイントはたくさんあります。男子校・女子校か共学校か、宗教系か否か、宗教系ならキリスト教系か仏教系か、大学付属か否か、どんな制服か、どんな部活動があるか、伝統校か新設校か、どんな教育内容か、留学制度があるか、プールはあるのか、など・・・。
しかし大事なことは、通いながらよい学校だな、と思えることです。6年も通えば夫婦や家族と同じで、嫌なところやアラが見えたりするときもあります。そのときに何とか乗り越えられるパートナーとして信頼できる学校が理想です。

入学すれば、お子さんはその学校の一員です。学校に育てられるのと同時に、学校を育てもします。伝統校の重みは、その学校の卒業生や保護者によって培われた部分が大いにあります。
一方、新しい学校や歴史の浅い学校には、学校を創っていく楽しみがあります。 いろいろ知るためにも、学校に足を運ぶことです。

  

  〇学校に着くまでを観察しよう

できれば車ではなく、電車やバスを使って通学経路を確認しながら行くことをおすすめします。子どもの足でどのくらい時間がかかるのか、学校へ向かうまでどのようなところを通るのか、実際に歩いてみると気が付くことは少なくありません。下校時に行けば、すれ違う生徒たちの普段の様子も観察できます。  

 

  〇学校の中では見ようとするより感じよう

校内見学はできることなら、ぜひしておきたいものです。実像に迫ろう、とアラ探しするならばトイレやロッカー、机の上の落書きなどをチェック。とはいえ、学校に落書きひとつ無く、チリひとつ落ちていなかったとしても、その理由はいくつか考えられます。
生徒たちの自主的なものなのか、そのように厳しく指導しているのか、お客の前だから装っているのか・・・。
細かいところに目を向けるより、校内の空気を感じ取ろうとすることをおすすめします。生徒がいればなおのことですが、いなくても教室に足を踏み入れれば何となくふんい気はわかります。校庭でも廊下でも図書館でも屋上でもどこでも構いません。立ち止まってみたり、見渡してみたり、ゆっくり深呼吸してみたり。見聞きすることも大事ですが肌で感じることも無駄ではありません。居心地のよさを感じられたら、合っていると判断できるでしょう。

学校というのは空間です。子どもの居場所があるな、と感じられるなら、その学校はよい学校です。通うのは本人ですから、子ども自身が「行きたい」「行ってもいい」と思えることも大事です。目の高さが違うだけでも、印象はずいぶんと違うものです。いくら親が気に入っても本人が肌で合わないということなら、よく考える必要があります。

 

  〇行かせたい学校なら文化祭・体育祭に連れていこう

文化祭・体育祭、クリスマス会といった行事は学校にとっても「ハレ」の場です。生徒たちも張り切っているので、多少、普段とは様子が違うようです。「あなたは受験生なのだから、もっと勉強しなさい」と言いたくなったり、「受験生としての自覚が足りない」と思ってしまったりする方にはおすすめです。

活躍する先輩たちへの憧れ、自分もあんなふうになりたい、と思う動機づけには格好の場です。
男の子は「食堂の肉まんが美味しかった」といったちょっとしたきっかけで、その気になったりすることもあるようです。ただし、学習意欲を高めてやろうといった親の意図は不思議と伝わるものですし、そうとわかると、かえって反発したくなる時期でもあります。精神年齢が高くなる女の子には期待薄かもしれません。

 

  〇在校生保護者に1年後の自分を重ね合わせよう

文化祭のような行事では、PTAの展示スペースやバザーなど在校生だけでなく保護者の方たちと接する機会があります。
話しかけてみれば、違った視点から学校の様子がわかるかもしれません。ただし、忙しそうなのに声を掛けたり、ぶしつけなことを尋ねたりするような非常識なふるまいは控えたいものです。無理に話さなくても、在校生保護者と気が合いそうかどうかは何となく判断できるはずです。

入学したら必ず親同士が交流しなければならないわけではありませんが、まったく接する機会がないとも考えられません。
同じ立場になるのですから、参考にできる部分は少なくないでしょう。 また、学校説明会では同じ学校を受験する保護者の方と同席する可能性があります。
同じ学校に通う保護者同士の間がらになるかもしれません。ここでも、少しだけ周囲を気にしてみるのもいいでしょう。

 

  

 

    学校選びのポイント

学校を選ぶポイントは何でしょう。いくつかあげてみます。

 

 1 通学距離と時間

学校は近いに越したことはありません。でも、極端に近すぎると家がたまり場になったりすることもあります。
6年間通うのですから、通学路の環境を気にする保護者は多いようです。
繁華街に近い学校の生徒の服装が派手かというと、そうでもなかったりするものです。
緑に囲まれた自然豊かな環境、といえば聞こえはいいけれど、夜になれば人通りが少なくて寂しいから不安、という面もあります。
逆に人通りが絶えないから夜でも安心、ということはいろいろ誘惑も多いということでしょう?というように、一つのことにはプラスとマイナスの両面がありますので、プラスばかりということはありません。

 

 2 学校環境・施設

最近の新校舎は最先端の技術を取り入れたものも多く、ただ新しいだけではないところに人気が集まっています。一方で歴史ある校舎では伝統の重みを感じさせるふんい気というものもあります。
スポーツ系の部活動をやりたければ、校庭や体育館の広さは気になります。 水泳が得意ならプールのあるところに行きたいかもしれませんね。 お弁当を毎日持って行かせるのが難しいご家庭なら食堂や給食は助かります。食堂やカフェテリアは高校から使えるという学校もあるので要チェックです。

 

 3 学費、諸費用

入学金、学費、施設費など納めなければいけないもののほか、制服代や通学定期代、修学旅行積立金等、PTA会費、生徒会費、学費一覧には載らない必要経費もあります。
寄付金の有無はたいていの場合、強制ではありませんが、気になるところです。また、入学手続金と手続き締め切り日によって、併願校にかかる費用が大きく違う場合もあります。

 

 4 学校の教育理念・校風

私学には独自性がある、とはいえその独自性がよくわからない場合もあります。
理念というと何か立派なもので近寄り難い。面接で志望理由を聞かれたときに「教育理念に賛同しました」と言うのは簡単ですが、具体的にどういうところが・・・といわれると、どこまで理解しているか、はなはだこころもとないこともあります。
理念には「こんな生徒を育てたい」という学校の方針が示されています。そこから生徒に求められるものや具体的な指導内容をある程度推測することも可能です。
「自由と自立」を唱えているなら、「校則は緩そうだ、だらしのない格好の高校生がいるかも」。「規律ある生活を通して社会に貢献できる人格の育成」となれば「髪型や服装にうるさいことを覚悟しよう」。「質実剛健」「文武両道」とあれば部活動や行事も盛んですから、「勉強する時間の確保には工夫が要るだろう」。「世界を視野に活躍できる」「国際社会に貢献」ということは「しっかり勉強させる、英語を中心に宿題や課題は多そうだ」。という具合にウラ読みができます。
入学後に何かあったとき、「理念に共感したから、こういう期待をして入学させたのに」という使い方をすれば、理念を盾にできるかもしれません。何だか「法の解釈」みたいな話になりそうですが、それだけ、理念というのは抽象的なものです。ある程度、わかりにくいのは仕方ありません。むしろ、校風の方がわかりやすいです。その学校のふんい気は行かないとわかりません。でも、行けばわかります。行って校舎や施設を回ったり立ち止まったりしてみてください。
できたら親子で。「あ、いいな」と思うか「何か、居づらいな」と感じるか。この手の直感は割と当たります。
在校生がいれば、その中に自分のお子さんがいるところを想像してみる。説明会や文化祭で他の保護者と一緒になれば、そこに加わる自分の姿をイメージしてください。どこか共感できるものがあれば、志望校候補のひとつに加えていいと思います。

 

 5 大学合格実績・進学実績

大学合格実績は、6年後の未来をイメージするのに、一番わかりやすいので気になります。東大合格者が増えると、急激に受験生が増えるということも近年は多くなりました。有名難関大学への合格者数より進学率を見るとその学校のその学年の全体像が見えるように思います。半分以上の卒業生がどのような大学に進んでいるかを見れば、全体的に上位志向なのか一部が上位志向なのかも想像できます。

大学付属校であれば他大学への進学がどのくらいあるのかに注目すれば在校生の志向が読めます。
付属大学に進学する率が高いほど、比較的のんびりしている傾向があります。しかし、日本大学のように全付属校で内部入試を行うところや、毎年、全学年で成績不振による留年や退学がある難関大学付属もあります。一方、大学付属校であっても他大学に進学する率が高ければ、それだけ学習できる環境があるということです。環境というのは設備だけではありません。むしろ大事なのは周囲のふんい気なのです。

気をつけたいのは、大学付属校であれ進学校であれ、進学実績を出す、ということは、勉強する環境がある、ということです。「中学に入ったら、もう好きなだけ遊んでいいから、今は勉強しようね」とお子さんを励ましているとウソになります。
周囲がその気なので勉強せざるを得ないのか、宿題や課題が多くて机に向かうことになるのかはわかりませんが、原因があっての結果です。
特に伸び盛りの学校であれば、さらにその先も期待したくなりますが、遊んでいても大学に合格できる、というような幻想を抱くべきではありません。また、予備校や塾に通って課題や宿題をこなさなければついていけない、という場合もまったくないとはいえません。
「大学全入時代」ともいわれていますが、難関大学に入学するには相応の努力が必要です。多くの私学が努力していますが、忘れてならないのは「学校は予備校ではない」ということです。
卒業後の進路は大事ですが、そのための指導力や環境について、どれだけ整っているかを知る目安程度としてとらえるべきでしょう。

 

 6 難易度・偏差値

難易度や偏差値も無視できません。過信も禁物です。目安として考えることが大事です。
合格偏差値80%というのは10人受験したら8人は合格する、という意味です。ですから絶対ではありません。
50%なら五分五分ということですから、受験する価値は十分あります。

何度か公開模擬試験を受験するとたいてい、受験するたびに偏差値が変わります。
いいときと悪いときとで10くらい違うのは決して珍しいことではありません。その平均偏差が目安になる、と考えた方がいいです。しかし、入試も同じで、よいときに当たれば、かなり上位の学校でも合格できるのでは?と期待したくなるのも人情です。
あまりおすすめはできませんが、どうしてもチャレンジしたいという場合は、より確実な併願校も考えることです。最悪の場合も考えるべき、ということです。

 

 

  学校選びがすべてではない

どれだけ情報を集め、学校に足を運んでも「理想の学校」と出会えるとは限りません。たとえ出会えたとしても入学できる保証もありません。
入試選抜があり、合格できるかどうかはわからないからです。
どんなに模試の偏差値が高くても当日の体調や緊張具合で不合格になることもあります。その逆に、偏差値が低くても初日に合格を得られ、勢いに乗って「高望み」校にまで合格する場合もあります。

小学生時の学力がその子の将来すべてを決すると考えてしまうのは早計です。最終的には「ご縁のある学校」に入学できればよい、と思える方が強いように思います。
志望校すべてに合格して「自分は天才」とカン違いするような子どもは鼻持ちなりません。不本意な結果に終わったとしても、子どもの人生がダメになってしまうわけでもありません。
多くの受験生親子にとって中学入試は大きな試練です。試練はつらく苦しいものですが、人間的な成長を促してもくれます。

どのような結果にせよ、入試が終わってから新たな生活が始まります。ノーサイドのホイッスルとともに頭も体も切り替えていきたいものです。
とはいえ、どんな形でもいいですから「合格」を味わって、「ご縁」のある学校に入っていただきたいと思います。そのためには確実な滑り止め校と早めの合格校確保です。確実な滑り止めですが、偏差値を5前後下げたところで確実な併願校にはなりません。10以上は下げて考えることです。
後になればなるほど入試は激戦化します。不合格が続くと精神的な負担も大きいため、苦しくなります。
複数回入試を行う学校でも回数によって合格基準は異なります。
昨年の結果は参考になりますがすべてが同じように進むわけでもありません。 まずは、学校情報を集め、「ご縁」のありそうな学校をより多く探すことです。

 

 

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情報協力:声の教育社

 

 


 

 

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